前回、『インターステラー』の映画と小説の関係について書きました。
小説を読むと、どういうことが分かるのか、気になりますよね。
映画では描かれていない、登場人物の感情に迫れる箇所が幾つもありました。
今回は、その中でも特に大きなテーマについて書いていきます。
映画を観ていない方、まだ小説の内容を知りたくないという方は、観たり読んだりしてから、またお越しください!
小説の完全なネタバレは避けていますけど。😉
( 前回の記事は、こちらです。↓)
クーパーが自宅を出発する時、外に飛び出して来たマーフの気持ち
クーパーが宇宙に向かう直前に、自宅を去る場面のことです。
父親の車のエンジン音が聞こえ、マーフが2階の自分の部屋から駆け下りてくるシーン。
「何かある🤨」とは感じたものの、それが分からないままモヤモヤしていた私です。
父親を引き留めるつもりなら、「行かないで!」と、声の限りに叫び続けるはず。
祖父に、「お父さんを引き留めて!」と懇願するかもしれません。
「許さない!」と思っているなら、自分の部屋にいるはずですし。
(宇宙でクーパーが受け取った動画では、マーフが「置き去りにされたことをずっと怒っていた」から、それまで1度もメッセージを送らなかった、という内容がありましたが・・・)
マーフの表情と態度から、「悲しい」「どうしたらいいか分からない」だけではなく、何かをしなくては!という印象を受けたのです。
実は、意外な感情が小説では描かれていました!
それがリアルというか、「子供(それもマーフ)なら、こう思うはず!」と、納得する内容。
あの表情と態度は、こういうことだったのか・・・と。
その後、マーフは遠ざかるクーパーの車を見送りながら、「父が(宇宙から)戻ってくることを必死に祈った」という記述もありました。
これは、映画でも描かれていた気持ちですね。
でも、仲直りできないまま、ふたりが別れた直後からすでにそう思っていた、ということも分かりました。
(original image: darksouls)
アメリアとクーパーの時間を超えた接触
ワームホールを通り抜けるとき、アメリアが外に向かって手を差し伸べるシーン。
ラスト近くで、それが「実はクーパーだった」と、観ている側には分かるという・・・
宇宙ミッション中の前半と後半をつなぐ、不思議な接点となっています。
アメリアからはどの程度見えていて、どんな感触と感情があったのか、映画では曖昧だったので気になっていました。
アメリアは「たぶん、彼らよ」と言っているので、人型が見えたのかな?とか。
小説でも多くは語られていませんが、疑問は解消しました。
さらにこの遭遇は、小説の後半、クーパー目線でもっとドラマチックに描かれています!
登場人物が、読者(視聴者)と同じ疑問を感じ、考える
教授が、最初からプランBのために計画を進めていたことを、クーパーが知った後。
そもそもなぜ、教授の言葉を信じてしまったのか?という疑問を持ったクーパーの、答えと心情が、小説では書かれています。
また、なぜ「宇宙に行くべきという任務」に通じることだけを父は信じ、他の現象(STAYのメッセージなど)を無視できたのか?との、マーフの疑問にも焦点が当てられています。
それは、クーパーの出した答えと同じであり、その気持ちに気付くと同時に、ずっと教授のやり方を信じてきたマーフ自身の気持ちと重なることにも気付く・・・
この部分は、物語に奥行きを与えていると感じました。
さらに小説では、「彼ら」に対する疑問をアメリアが感じる場面もあります。
マンの星が居住不可能だと分かり、ラザロ・プロジェクトで送り出された11の可能性のうち、10が失敗となってしまった後という、深刻な事態でやっと。
矛盾点に登場人物が気付くことで、逆に「信じて行動したことが不可避」であったと気付かされました。
また、人が行うことに対して、完璧ではないリアルさがいいですね。
教授(父親)のウソを知った、アメリアの気持ち
このことについても、小説では詳しく書かれています。
映画では、次々と緊急事態が起こり、考えているひまもないような場面が続きますが。それでもちょっとしたスキに、考える余裕が小説ではあります。
オマケ: 分からなかったこと・・・Coop Cooper
些細なことなんですけど。😅
映画を観て、疑問に思われた方も多かったのではないでしょうか?
クーパーの息子トムが、自分の子供に「クープ」という名前を付けたことが気になっていました。
母方の祖父や周りの人たちから、主人公のクーパーが、「クープ」と呼ばれていたからなのは、分かっています。
でも、両親の名前が、トム・クーパー、ロイス・クーパーとなっているので(英語版wiki)、息子のフルネームが「クープ・クーパー」になってしまうんですけど・・・
小学校で、「クープ、クーパー、クーペスト!」なんて、いじめられそうですよね。
主人公のクーパーのファーストネームは、ジョセフという設定らしいので、こちらから名付けてもいいのに?と思いました。
「クープ」ほどの愛着はないから、意味がないかもしれませんが・・・
家庭内での「あだ名」としても、ちょっと無理があります。
山本さんのお父さんが、「山ちゃん」と呼ばれているとして、「山本家」で山本さんたちが、息子を「山ちゃん」と呼ぶようなもの・・・
この、主人公の孫にあたる少年の名前に関して、小説にも詳しい説明はありませんでした。
(「人が行うこと」なので、「名付け」が不可解なこともあるのかな?)
ちなみに、ジョセフ・クーパーという名について
主人公の「ジョセフ」というファーストネームは、映画と小説には出てきません。
「クープ」または「クーパー」と、ずっと苗字で呼ばれているので。
ジョセフ(Joseph)は、旧約聖書に出てくる有名な人物の名前らしいです。
人々を大飢饉から救い、最長寿命(110歳)まで生きた人物。
預言となる、「太陽と月と11の星」が出てくる夢を見ました。(wikiより)
「11の星」は、「ラザロ計画」で11人が向かった先とつながりますね。
(私は、太陽はロドニー、月はドイルのことかな、と思っています。)
35歳の時、宇宙に出発し、約90年後に帰ってきた、実年齢124歳のクーパーとも重なります。
また、イエス・キリストの養父もジョセフ(ヨセフ)です。
となると、この名前には「救世主の父」という意味も含まれていそう・・・
ラザロ計画の「ラザロ」という名前自体が聖書に由来するので、「ジョセフ」が関係している可能性も高いですね。
また、物理学の「ジョセフソン効果」と「クーパー対(ペア)」も、無関係ではないかもしれませんが。
(2018年3月17日の記事です。)
(↓)小説の原書は、新品も販売されています。
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