この映画に、強く心を動かされました。
どうしてなのでしょう...
今回は、この点について書きます。
また、この映画の良さが、小さい子供にも伝わるのかどうかにも、触れていきます。
(original image: Yuri_B)
私自身は、この「蛍火の杜へ」が映画館で公開されていたときには、全く知りませんでした。
たまたま、BSの番組表でタイトルを見つけ、気になったのです。
映画についての簡単な紹介によると、「不思議な森に関する話」とのことで。
「UMA(未確認生物)・妖怪好き」の娘が観たら楽しめるんじゃないかな、と期待して録画しました。🙂
そして念のため、子供が学校に行っている間に、私が前もってチェックしておくことにしたのです。
あまりにも怖すぎたらいけないので…
でも実際は、そのような心配はいらない内容でした。
「夜に思い出して震え上がるような怖さ😨」などは、全く無くて。
でも別の理由で、この映画は「娘にはまだ、見せない方がいい!」と判断しました。
(ここからは、映画を観た方だけ読んでください!前情報ナシで映画を観てもらいたいので。🙏 ⇓ )
娘に見せようと思わない理由①
はじめは、主人公の女の子「ほたる」が小学生で、ちょっとコミカルなところもあって・・・
娘も楽しめるかな、と思ったんです。
(original photo: Darius Krause)
山神(やまがみ)の森で迷子になった6歳の〔ほたる〕が、不思議なお兄さん「ギン」に助けられる、というのが、ふたりの出会い。
そのギンに、「(人間に触れられると、自分は)消えてしまう」と言われているのに、わざと触ろうとする〔ほたる〕の無邪気さと、ギンの防御(?)が、おもしろく描かれています。
妖怪も、怖くない程度に出てくるし、風景も人物もきれいで!🙂
でも途中から、小学生の子供向けではないな、と思い始めました。
小さかった女の子が、どんどん大きくなっていって、この映画は、〔ほたる〕の「ギンに対する恋しい気持ち」がメインの話だと分かりましたから。
こういう、シリアスな映画を娘が観るのは、まだ先かと・・・😓
娘に見せようと思わない理由②
実は、この映画を観ながら、ぼろぼろ泣いてしまったんですよ。🥺
私が泣き始めたのは、出会いから数年経ち、ふたりがお互いをよく知るようになっていた夏のできごとから。
「〔ほたる〕が登っていた枝が折れ、木から落ちる」というアクシデントのシーンです。
ギンが、落ちてくる〔ほたる〕を、両手で受け止めようとする。
↓
でも、「その手に触れてはいけない!」と、落ちながら〔ほたる〕がためらう。
↓
結局ギンは手を引っ込め、〔ほたる〕は藪にどさりと落ちてしまう。
(すぐに、無事であることは分かりますが。)
↓
〔ほたる〕が笑顔で「ねえ、ギン!何があっても、絶対、私にさわらないでね。
ね!絶対よ!」と言い...
直後、せきを切ったかのように、涙があふれる。😫
(original photo: André Cook)
まだ小さい〔ほたる〕...
木から落ちそうになったりしたら、本当は、受け止めてほしいはず。
でも、それよりも何よりも、「ギンが消えること」が自分にとって「一番恐いこと」だと気付いた瞬間です。
いきなり枝が折れて、「高い所から落ちた恐怖」と、「ギンを失うかもしれないという恐怖」。
そして、無事だったことへの安堵。
いろいろな感情が混ざっての、大泣きなのではないか、と感じました。
この場面から、最後まで、自分が涙をぽろぽろ流して泣いてしまうシーンが多くて・・・
(映画を観ながら楽しんでいたグレープフルーツを食べるのが大変なぐらい。💦 )
こんなに泣くところを子供に見せる訳にはいかないから、娘と一緒には観られないな、と思ったのでした。
しかも、そのすべてのシーンで、子供は、なぜ私が泣くのか分からず、置き去りにされたようになるのでは...
「まだこの映画は見せないほうがいい」と思った、別の理由でした。😯
涙があふれる理由
しかし、恋愛にあまり興味のない私が、なぜこんなにも心を揺さぶられたのか・・・
この映画を「かなわぬ恋」の物語としている人もいますが、私はそうとは思いません。
ふたりは、出会ったその日から惹かれ合っていて、恋は「かなっている」から。
「思い通りにならない恋がつらい!」という話ではなく...
〔ほたる〕の、「ギンを想い、一緒にいたい・触れたい」と願う気持ちが、切ない物語なのです。
(image: Darkmoon_Art)
そんな〔ほたる〕の、のびのびとして素直なところ...
切ない想いを自分で解決しようとするところ...
それが、いじらしく魅力的で、涙が出てしまうのかもしれません。
さらに、山神の森に住む妖怪たちの、ギンへの気遣いが、とっても優しいのです。
これも、心惹かれる点の1つだと思います。
今までの夏とは違う展開が・・・
〔ほたる〕が高校生になった夏、話がそれまでとは違う方向に動き始めます。
高校を卒業したら、(今までは夏しか来られなかった)森の近くで就職して、「もっと一緒にいられるようにするつもりだ」と、ギンに話したことがきっかけ。
ギンは、自分の生い立ちを語ることで、〔ほたる〕をもっと現実世界に向けようとしますが、〔ほたる〕は気にしません。
中学生のときからすでに、ギンと自分との違いを認識していたのですから。
そんな〔ほたる〕の反応と...
彼女に対する自分の気持ちに気付き...
ギンは、別れを決意し、行動したのではないか、と思われます。
ずっと一緒に行きたいと思っていた「妖怪たちの夏祭り」に〔ほたる〕を誘います。
楽しい時間を過ごしますが...
帰り際に、「オレ、もう夏を待てないよ(→離れているのがつらい)」という告白とともに、ずっと付けていたお面を渡すのです。
(original photo: Ryutaro Tsukata)
これには、自分を想うがゆえの別れの前兆なのだと、〔ほたる〕も気付きます。
「きっともう、彼は次の夏、あの場所へは来ないでしょう」
と...
そんな予想を確かめることを待たず、そのあと急に訪れた別れ。
それは、誰が悪いわけでもなくて・・・
ふたりは最後に、「相手を抱きしめる」という願いを、一瞬だけかなえることができたのでした。
(original image: Marek Piwnicki)
この場面では、ふたりが「同じ想いに包まれた」、その様子に圧倒されて、涙があふれました。
「本当に気持ちが通じ合った瞬間」を見せてもらったようで。
(言葉で言い表すのは、難しいのですが。😟)
ギンと〔ほたる〕の最高の笑顔が素敵に描かれていて、胸がつまりました。
決して、「悲しい別れの寂しさ」で泣いたわけではないんです。
(image: jplenio)
ギンは、成仏できないまま森をさまよう、霊のような存在でした。
そんな彼のそばで続ける生活は、〔ほたる〕を現実から遠ざけるばかり。
それを、ギンが良しとするはずもないのです。
(私がギンだったとしても、身を引きます!)
別れなければいけないふたりなら、「これ以上の別れはないのではないか!」 と感じました。
むしろ、この別れは「山神様のおぼしめし」では・・・?と思うぐらい。
すがすがしく、優しい気持ちにしてくれる映画だと感じました。😊
映画について
この映画は、2011年公開。
毎日映画コンクール「アニメーション映画賞」受賞作品です。
この賞を受賞した作品には、これまで「千と千尋の神隠し」などがあり、2016年には、「君の名は。」が受賞しています。
「作品紹介」に、テレビアニメシリーズ「夏目友人帳」(同じ原作者の作品)を手掛けたスタッフが制作に挑んだ、とあります。
※「蛍火の杜へ」と「夏目友人帳 1~6」と特別番組2話は、「U-NEXT」動画配信サービスの「見放題」で視聴できます。
また、「劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~」は、「ポイント」利用で視聴できます。(2019/8/19確認)。
配信が終了してしまう可能性もありますので、現在の配信状況については、「U-NEXT」のホームページをご確認ください。
※「夏目友人帳」の各シリーズと、特別番組8話(「SOUND THEATRE×夏目友人帳」を含む)は、「dアニメストア」動画配信サービスでも視聴できます(2019/7/16確認)。
今後、配信が終了する可能性もありますので、配信状況については、「dアニメストア」のホームページをご確認ください。
(2017年3月の記事を更新しました。😌)
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