イナーシャには、両親に内緒にしていることがありました。
しかもそれは、彼女にとって一番大切なこと。
私は、この点についても、「何か重要な意味があるのでは?」と、気になったのです。
(映画・原作共に、理由は示されていなかったので。)
今回は、「秘密」について書いていきます。
(2019年8月の記事を更新しました。😊)
カントリーへの憧れ
秘密にしていたことの1つは、「カントリーに行きたい!」という夢ですね。
(original photo: James Wheeler)
原作では、カントリーへの憧れを、「むしろ両親の方が、キノに熱く語っていた」との記述がありました。
同席していたイナーシャは、その話題に無関心を装ってさえいたのです。
わざわざ、そのような「振り」をしていたことが描写されている理由を、考えていきます。
イナーシャの計画
開拓団としての移住は、家族単位です。
そしてイナーシャには、「両親がホテルの仕事をやめてまで、カントリーに行くことを希望してはいない」ことも分かっている...
彼女は、開拓団としてではなく、「ひとりでカントリーに行く必要がある」と考えていたはずです。
原作では、病気が治った時の話として、キノに、
「カントリーへ行く許可を得るために、一生懸命勉強と訓練に励むことでしょう」
と語っているのです。
開拓団としてではなく、彼らの警護を務める「軍の特殊部隊員として」、カントリーに行き、ローグと再会するつもり、と言っているようにも聞こえます。
それは将来、「ローグのそばで暮らす」ためです。
というのも、原作では、コール中尉が、イナーシャとローグの手紙を読み、
「(彼女の夢は)完治して少年と一緒にカントリーで住むことだった」
と話す箇所があるのです。
キノに対してイナーシャは、カントリーに行く目的を、「ローグにお礼を言うため」と話していましたが...
(内に秘めている感じも、なかなか良いですよね。🥰)
(image: ractapopulous)
実際は、「1回、会いに行けば良いだけの話」ではなかったみたいなんです!
そして、残念なことに、移住の手段は限られていて...
独身のままで行くとしたら、「特殊部隊員として」しかなさそうなのです。😥
ローグに恋するイナーシャが、「一緒に住むにはどうしたらよいのか」と考えて、行き着く答えも同じだと思います。
しかし、娘が軍隊に入ると言い出したら...
優しい両親には、確実に心配をかけることになります。
(豪華ホテルの仕事を捨てて、「一緒に開拓団になる」と言い出す可能性も?)
それなので、計画の実現が近づくまで、内緒にしておく必要があった、ということではないでしょうか。
無関心を装っていたワケ
イナーシャは、両親の前で、「興味がない様子」までしていました。
実際のところ、徹底して秘密を守るためには、これが有効な方法だと思います。
カントリーについて、イナーシャは両親よりも詳しいのです。
カントリーに関する情報には、人一倍敏感でしょうし...
さらには、実際にそこで暮らしている開拓団の1人と文通しているのですから。
それなので、カントリーについての話題にイナーシャが加わった場合、その知識がぽろりと表に出てしまう可能性があります。
そうしたら、「どうしてそんなことまで知っているの?」と不審がられ、自分の計画を話す必要に迫られるかも...
そして、秘密にしている文通のことも、知られてしまう可能性が...
できるだけ、この話題に触れない方が無難なので、関わらないようにまでしていた、ということだと考えられます。
ローグとの文通
では、そのもう1つの秘密である、ローグとの文通に関しては、どうでしょうか。
「励ましあっている友達」がいることを両親が知ったら、とても心強く感じて、むしろ喜んでくれるような気がしますが...
10代前半の少女なので、「好きな男の子について、両親に話さない」というだけのことなのでしょうか?
たぶん、それだけでは無いと思うんです。
上記の「移住計画」を秘密にしておくためには、ローグのことも隠す必要がありそう...
文通が知られたら、手紙の内容を気にされ、何かの折に見られてしまうという危険がありますから!
(original photo: Johnmark Smith)
でも、入院している娘が、「手紙のやりとり」を親に隠しておくこと自体、可能なのでしょうか...
この点は、ちょっと疑問に思いました。😯
(細かいことなのですが、非現実的だと、物語が嘘っぽくなってしまうので…)
二重封筒の謎
原作では、封筒は2重になっていて、外側の封筒には、「病院名と病室番号しか書かれていない」となっています。
何らかの手続きで、封筒を見ただけでは、送り主が分からないようには、なっているんです。
それでも、定期的にどこかから、自分の子供の病室に手紙が届いたら、親は「誰からなのか?」と気にするはず!
手紙が来ること自体を、病院関係者が、保護者に話さないはずがありませんし。🤨
そもそも手紙は、どういう手続きで、外側の封筒に入れられたのでしょうか?
検閲(カントリーからの手紙には必要)の際に、入れられたのかな?と最初は考えていました。
それが、外側の封筒に「消毒・検査済み」の印をつけるため、ということなら分かります。
でも実際、印がつけられていたのは、「内側の封筒」となっているのです。
外側の封筒は、検閲では必要がないような...
文通手段を推測
そこで、次のような手段が考えられます。(あくまでも、想像です。😉)
イナーシャには、シティに協力者がいる。
ローグは、カントリーからその人宛てに手紙を出す。
協力者は、それを白い封筒に包んで、病院に届けてくれている。
原作では、イナーシャは、「2年前に発病したこと」が書かれているので、その前からの友達がシティにいても、おかしくはありません。
自分からの手紙として、病院名と病室番号を書き込んで、病院に持ち込んでくれるとしたら、可能なのかもしれないなと、考えました。
ちなみに映画では、封筒は2重にはなっていません。
白い封筒から直接、手紙を出していたのです。
この場合は、協力者が、白い封筒に手紙を入れ替え、自分の名前を差出人として記し、病院に届ける、という方法が考えられます。
(original image: ArtsyBee)
そういう訳で、うまく手はずを整えれば、「相手を親に知られずに、入院している子供が文通を続けるということ」も不可能でもないかな、と思います。
秘密の行き着く先は・・・
イナーシャが秘密を守るためには、相当工夫をする必要があったということが、読み取れるのではないでしょうか!
しかも、通常だったら不可能なことを、やりかねないと思わせる女の子なのです。
そのような行動が、夢をかなえようとする彼女のひたむきさを、更に際立たせているのではないかな、と感じさせます。
(「親まかせ」や「運まかせ」にする気が全くないという...😏)
(original photo: Bich Tran)
でも、秘密があるのは、イナーシャだけではありません。
そんな彼女を見守るコール中尉も、秘密を背負っていました。
そして、彼らが住む国は、「特別開拓団」という秘密を抱えているのです。
夢をかなえるための秘密。
相手を傷つけないための秘密。
病気の人を救うための秘密。
そして、それぞれの秘密を守るための嘘。
「病気の国」は、そんな、誰かのための秘密と嘘が多いお話なのです。
嘘をつきとおし、秘密を守り続けるのは、難しいこと...
それは、この物語の続きが、気になってしかたない要因なのかもしれません。
(original image: AJSTAR212)
「イナーシャとコール中尉の関係」は、こちらに書きました。(↓)
「イナーシャの魅力」については、こちらにも書いています。(↓)
(赤いトマト柄パジャマ姿のイナーシャ。🙂)
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