ずっと昔に観た記憶のある、サンリオ制作の「くるみ割り人形」。
日本で最初の、長編ストップモーション映画です。
今回、U-NEXT の利用期間中に、観ることができました。
(「プライム対象」ではなく、「dアニメストア」でも扱っていない作品です。)
子供の頃に観たことは、確かです。
でも、覚えていることといったら...
「わたしの、くるみ割りさん」というセリフ。
「お菓子の国」のキャンディーたちのダンスがかわいかった(おいしそうだった)。
という程度。😓
実際に観てみると...
全体的に、画面が暗い。
最初の方なんて、トラウマになる可能性大ですし。
やっぱり、「これは子供向けの映画ではなかったのだな」と確信しました。
大人にしか分からないような、当時の流行を詰め込んだ場面もあったり。
でも、がっかりした訳ではないんです。
今、改めて観ると、また違った味わいがあることに気付きました。
映像
映像の作り方は、同時かなり斬新だったのではないか、と思います。
例えば...
主人公クララが、思い出していることを、薄い映像で同じ空間に重ねたり。
それが、現れて消える様子が、頭上に半円を描く動きで表現されていたり。
同じように、他の1つ1つの場面にも、相当工夫が凝らされていると感じました。
人形アニメと実写の映像が混ざっていることも、今になってみると、それ程違和感なく受け止められました。
(覚悟してから観たからかもしれないけれど。)
小さい時に観たときは、つながりがまったくつかめず、良く分からなかった点なのですが。
今ほど、映像作品が多くなかった時代。
人形の映像も、バレエも、1本の映画でいろいろ楽しめる作品にしたかったかもしれない、と思えてきました。
バレエのシーンは、本当に美しいですし。
無心に楽しめるのは、細部までこだわりのあるセット!
まるでドールハウスの世界を見ているかのようでした。
部屋、階段、家具、小物が、丁寧にそろえられているのが分かります。
全然安っぽいところが無いのです。
ミニチュア世界の堪能もできる作品だと感じました。
ドールハウスの中で、かわいいお人形が生活している姿が、見られるのですから。
あとは、やっぱり、子供の時に目を奪われた、お菓子の国!
「こんなにキラキラ✨だったんだー」と、改めて感嘆しました。
カラフルでかわいらしいお菓子たち。
その、なめらかでキレのある動き!
中でも、キャンディーたちのダンスが、今でも1番好きだと思いました。
映画に込められたメッセージ
特に印象に残ったのが、この映画のテーマである「愛」について。
小さい時には、全く印象に残っていなかったのが、びっくりなぐらいです。
(お菓子に、目がくらみすぎていたのかも。😋)
(image: Buntysmum)
今回、時計職人のおじさんのセリフに、ハッとさせられました。
” 好きと言っても、いろいろあるし。
愛と言っても、いろいろあるし。
人間はね、いろいろなものをすぐ好きになったり、愛したり、
嫌いになったり、憎んだりするのさ。
本当にそのものを、その人自身を、愛してなんかいないからさ。”
そしてこれが、1番重要な場面なのかもしれない、と感じました。
子供はもちろん、大人でも、分かっているようで、分かっていないようなこと。
それを、詩のような表現で、分かりやすく語りかけています。
映画を観たのは、この詩と出会うためだったのか、とまで思えてきました。
関連映画と原作
最近、この映画のことが、妙に気になっていた訳というのがありまして。
Disney⁺(ディズニープラス)で「くるみ割り人形と魔法の王国」を観たのです。
そのストーリーが、かつて観たこの映画と同じなのかどうか、知りたくなったのでした。
そして、実際に観てみたら、全く違う。
そうなると、原作とされている本は、どうなっているのだろうと思い、読んでみました。
E. T. A. ホフマン作「くるみ割り人形」です。
ところが、この本を読みつつ、ますます混乱してきました。
ストーリーが、どちらの映画とも違うので...
そして、全部読み終えた時、つながりが分かったかもしれません。
この物語のエッセンスを抽出して、人形アニメ映画に注入していると。
本には、ハラハラ・わくわくするような展開が、次々と盛り込まれていました。
でも、その中で重要なのは、やはり「愛」だと思うのです。
小さい女の子の「愛」の話で、映画とは重みが違うかもしれませんが...
(映画は、どちらかというと、大人向けですから。)
それでも、子供なりに「犠牲を払って、相手を守ろうとする」という内容が、心に響くのでした。
体を呈したり、大事な物を差し出したりして。
(original image: gingertea)
ちなみに、ディズニー映画の「くるみ割り人形と魔法の王国」は、本とは全く違うストーリーでした。
でも、無関係というわけでもないようです。
雰囲気を取り入れつつ、映画オリジナルのストーリーになっていますから。
再編集版
実は、アニメ映画「くるみ割り人形」は、2014年に、リマスター版が制作されていることを、今になって知りました。
バレエのシーンをカットしたり、編集をし直したそうです。
「プライムビデオ」では、有料で、この「2014年版」が観られようになっています。
いつか、観てみたいです。
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