これまで、ゴジラの海底遺跡にカタカナで「ゴジラ」と記されていた謎について、あれこれと考えてきました。
そして、「ありえないことでもないかな?」という感覚になってきたのですが…
しかし、映画「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」を司るモンスターバース(MonsterVerse)にとっては、このような説明など、必要ないものなのかもしれません。
(ワンダーフェスティバル2019 DeAGOSTINI展示)
今回は、製作者によるコメントから推測して、この謎が意味することと、その反響について、書いていきたいと思います!
監督の公式発言
実は、この件に関して、ドハティ監督に直接、Twitterで質問された方がいたのです。
こちらのページ(↓)には、そのような、ファンと監督とのやりとりが翻訳してまとめられています。
1番最初に載っているのが、「カタカナ」についての質問です。🙂
「海底遺跡にカタカナで『ゴジラ』と書かれていたのはなぜ?」
という問いに対する、監督の返答は以下のとおり。
”(ゴジラが休んでいた)海底都市は、日本の与那国島に実在するミステリアスな海底遺跡が基になっています。これを、ゴジラと初めて接触をもった文明として描くアイデアが気に入ったんです。”
オリジナル(原文)は、こちら。(↓)
The underwater city was based on actual mysterious ruins near Yonaguni, Japan. I like the idea that this was the civilization that 1st made contact with Godzilla. https://t.co/oAwmoK96Wg https://t.co/uqcSrJmjXg
— Mike Dougherty (@Mike_Dougherty) June 5, 2019
「海底遺跡」というのは、与那国島南部の不思議な海底地形のことですね。
「ゴジラ」の3文字に関する、「直接の答え」はありません。
でも、ここで注目されるのが、「日本の(与那国島)」という言葉なのではないでしょうか。
監督は、もともとゴジラの海底遺跡の場所を、与那国島辺りにしようと考えていたのかもしれません。
または、映画で描かれた海底遺跡とは別に、「もっと昔から存在した文明の地として、日本の与那国島近海を想定していた」ということなのかも…
そして、
「ゴジラと初めて接触をもった文明の人々を、日本人の先祖とする」
そのため、
「日本語の『ゴジラ』を記した」
というお話なのだと思いますが…
分かったようで、結局分からない(?)
ますます謎が深まります。
まずは、このことについて、考えていきます!
はじめに、海底遺跡の作られた時代
これまで私は、ゴジラの海底遺跡は、数千年前の物と仮定して考えてきました。
古代エジプト文明の始まりよりも、ほんの少し前、という風に。
映画本編と矛盾せず、 それでも、できるだけ現在のカタカナの歴史と近い時代を想定するべきかと思っていたのです。
でも監督が設定していたのは、それよりもずっと昔のことだったと分かりました。
Twitterでの返答の最後に引用されているページは、こちらです。
(↓)
与那国島の海底にある物は、「1万年前ごろの遺跡なのではないか」という記事になっています。
(ちなみに、この海底地形は、自然にできたものとする説が有力です。←wikiより)
そのため、海底遺跡の作られた時期に関しては、それぐらいの年代を想定していると考えて良いでしょう。
実は、「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」本編のオーディオ・コメンタリーでも、この件に関して、監督の言及があったのです。
(ゴジラの海底遺跡は、)アトランティスや、その他の失われた文明(other lost civilizations)の1つとして考えていると。
アトランティスは、紀元前1万年頃。
(著者プラトンのいた紀元前400年ごろの9000年前に海に沈んだとされている文明国家なので。)
今から、12000年ほど前の時代になります。
監督が意図していたのは、まさにこの時代のことですね。(↓)
(現在は、中古のみの販売となっています。↑ )
「超古代文明」とも言われる時代です!
そうなると…
カタカナの歴史からは、ますます離れてしまいます。
現在カタカナができたと考えられている1000年前より、さらに1万年以上前の時代ということなのですから。
そして、場所から分かる手がかり
監督が当初、日本を想定していたらしいゴジラの海底遺跡。
しかし、映画ではその点については、全く触れられていません。
でも、実はこの件から、思い出したことがあるんです...
モスラ神殿の場所
それは、監督が、モスラの神殿について話していた動画内での内容です。
「自分にとっては、モスラのふるさとはインファント島です。」
カメラを真っ直ぐに見つめる監督の姿は、とても印象的でした。
そして、この発言がずっと、私の心の奥で引っ掛かっていたのです。
それは、「すごくこだわりのあった要素だったのだ」と、感じられたからかもしれません。
完結な言葉でしたが、監督の誠実さが伝わってきました。
ゴジラファンへの、「期待に応えられなかった」という気持ち。
監督自身の、「想いを通せなかった」という気持ち。
それらが、込められていたように、感じました。
(あくまでも、私の個人的見解です…😌)
もともと私は、この映画内で、どうしてモスラ神殿が中国にあるのか、疑問に思っていました。
「架空の地名を使わない」というお約束がある訳でもないですし。
(ラドンのイスラ・デ・マーラ...)
たとえ「インファント島」という名称を使えなくても、「南洋諸島の1つの島」とする方が、モスラのイメージに近いはず、と。
でも、上記の監督の発言を目にして、なんだか納得したのです。
本当は、違う形を模索されていたのかもしれないと考えたり...
また、そんな監督の手腕で、違和感は最小限に抑えられているとも感じています。
いろいろな要素を組み込むことで、完成した超大作映画です。
予算と、公開後の収益が見込めなければ、「これほどのことはできなかったはず!」と、改めて気付きました。
(ちなみに、監督の動画は、KOM公式HP上で公開されていたように思います。現在は、見つけることができませんでした。)
ゴジラ神殿の場所
そして、もしかしたら、ゴジラの海底遺跡に関しても、同じようなことがあったのではないか、と考えたのです。
それは、「(与那国島では)モスラ神殿から近い」という、前述の内容と関連する理由からかもしれないし、「全く別の理由」からかもしれません。
(モスラとゴジラが近くても、ストーリー上は、全然問題ありません。)
(左端が与那国島。 ↓ )
(平成31年カレンダー 全国市町村マップ 〔国土地理協会〕)
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(原題 Godzilla: King of the Monsters)」は、過去のゴジラ映画への強い想いが込められた映画でした。
その中でも、1番重要視されているのは、1954年の最初の「ゴジラ」です。
(この映画のアメリカ版タイトルが「Godzilla, King of the Monsters!」ということ以外でも。)
(ホテルグレイスリー新宿 屋上)
監督は、「ゴジラは、日本から始まった」ということを、映画内で示そうとしたのではないかと思うのです。
そのため、ゴジラと最初に接触した文明として、大昔の日本がふさわしいと。
その後、かなり年月が経っても、紀元前11世紀に日本人はゴジラのすぐそばで暮らしていますし。
(「ゴジラ アフターショック」で描かれた事実。)
さらに、現代の1954年でさえ、日本は「ゴジラ伝説」が残っている場所なのです。
(最初の映画「ゴジラ」。「モンスターバース」世界での言及はありませんが。)
そして、2019年「キング・オブ・モンスターズ」では、日本人である芹沢博士が、ゴジラの神殿で、自らの命と引き換えに、ゴジラを助ける...
神としての「ゴジラ」と日本人との、「強い繋がり」という要素が連なることにもなります。
また、1954年「ゴジラ」の舞台であり、ゴジラが語り継がれていた大戸島(架空)の位置は、小笠原諸島にあたります。
(同じ小笠原諸島にある南鳥島が、日本の最東端の地。離れていますけど。)
そして、与那国島は、日本の最西端の地。
日本の端に位置する、東西の南の海。
もし「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」で、この設定が実現していたら、ますますロマンに溢れていたのではないでしょうか。
時代も場所も違うのに、カタカナで「ゴジラ」と記した理由
「1万年以上前の日本の与那国島が、海底都市の基になっている
↓ ↓ ↓
「カタカナ」で「ゴジラ」と表記したことの理由
これは、映画内で、この設定を実現できなかったことから、行き着いた結果だったのではないか、と考えられます。
「 ゴジラ・ファンへの気持ち」と、「監督自身のゴジラ作品への愛」が込められている、ということではないでしょうか。
「時代」も、「場所」も、カタカナと関連しないことなど、当然承知の上。
「こうすべき」と感じたから、「ゴジラ」と記した。
ということなのではないかと。
前回、壁画について、「よほど遺したいことがあるからこそ作られる物」と書きました。
ゴジラの海底遺跡で、最初に迎えてくれた壁画には、「監督の想い」が記されていたのかもしれません。
観客の反応
そして、この場面を観た人々の反応には、幾つかのパターンがあるようです。
1つは、「困惑した」というもの。
私自身、「え、どうして?どうして?」と、なってしまいました。
中には、「引いた」という反応もありました。
これは、映画の世界に引き込まれていたのに、急に現実を突き付けられたような感覚に陥ってしまったからではないかと思うのです。
(暖かいおふとんにくるまって、ぬくぬくしながら夢の世界にひたっていたのに、いきなりたたき起こされたような感じかもしれません。😰)
ただ、このような反応は、一部の人に限られているのではないでしょうか?
「合理的かつ、伏線が回収される映画」に慣れていて、日本語に詳しい観客のみではないかと。
そして、根っからのゴジラ・ファンの反応は、「よっしゃー!」ぐらいだったのかもしれません。
むしろ、わくわくする要素というか。
「ゴジラ」と聞いたり、文字を見たりするだけで、どんなに眠たくても、目がぱっちり覚めてしまうような人たちにとっては。
そもそも、これまでのゴジラ映画では、合理性はそれほど重視されていなかったように感じられるのです。
例えば、言語に関することでも、「日本人ではない人達同士だけ」の会話でも、日本語を使っていたり…😮
(ゴジラEXPO2019 展示)
もともとゴジラ映画は、制作側の「こうしたい」という想いと、観客が「求めている期待」で、できているからなのかもしれません。
そして、ドハティ監督自身は、そのすべての「ゴジラ映画」を受け入れている人なのです。
(映画のプログラムには、監督の「とにかく今までのゴジラ映画すべてに敬意を払いたいと思って、オマージュをたくさん入れています」との言葉があります。)
また、海外のゴジラ・ファンの反応も、同じような感じだったのかもしれません。
というのも、この「ゴジラ」という3文字には、特別な意味があるようなのです。
こちらは、2019年11月9日に、ゴジラ・ストアで撮った写真です。
(↓)
(ゴジラ・ストア 店内掲示)
左端に、色紙が3枚飾ってあるのですが…
そのうち2枚には、カタカナで「ゴジラ」と書かれています。
(拡大写真 ↓ )
(自発的に、「ゴジラ」と書いてくれているっぽい!)
「日本語に興味があるから、カタカナを書いた」という訳ではなさそうです。
(宛名の「ゴジラ・ストア」は、アルファベットなので。)
ファンの間では、カタカナの「ゴジラ」は、有名で人気があるからではないでしょうか?
前回紹介した「ゴジラ アフターショック」でも、この文字は使われています。
こちらは日本語版ですが、原書の方でも同じように、カタカナがデザインされているのです。
(子供の本を再び借りて撮影)
海外でも、この「カタカナ」表記に対する思い入れが強いのではないか、と思われます。
この3文字を見るだけで、あの姿が目に浮かぶという感じなのかも...?
では、特にゴジラ・ファンではない、海外の観客の反応はどうだったのでしょうか。
あくまでも、私の想像でしかないのですが、
「あれ?日本語っぽい文字が書いてある… ゴジラはもともと日本映画だったから… かな?」
という印象かもしれません。
実際に、大多数の人から、このような反応を得られたとしたら、それはそれで目的にかなっていると言えそうです。
~感想~
今回は、ドハティ監督の発言から、映画で「ゴジラ」の3文字が使われた理由を考察してきました。
そして、日本で作られた映画が基になっていること、また、その時に「ゴジラ」と名付けられたことへの敬意が込められているのではないかと、思うようになりました。
「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」は、「神話」や「超古代文明」と「怪獣」という、ミステリアスな要素を絡み合わせることで、
「こう解釈できるかも?」
「こうだったらおもしろい‼」
というのを、見せてくれた映画だと思います。
【おまけ】
ところで、まだ完全に解明されていないミステリーの1つに、ナスカの地上絵に関する疑問があります。
なぜ作られたのか?ということですね。🤨
モンスターバース世界では、この謎さえも、解明できるんじゃないかな!と思います。
もし超古代文明時代から、地上絵を作る伝統があり、それが現在まで伝わっているとしたら…
(original photo: monikawl999)
このような地上絵の地下には...(↑)
こういう怪獣がいる!という誇示のためなのかもしれないと。(↓)
(「ゴジラじゃない方展」 展示)
自分たちの土地には、「味方の強い怪獣」がいると、他の怪獣(ギドラやラドン?)を牽制するには、地上絵が最適だと思うのです。😊
年月が経って、次第に、怪獣は人の前から姿を消し...
大昔の地上絵は、樹木に包まれたり、海底に沈んだりなどして、見られなくなったけれど...
厄除けとして地上絵を作る文化は残っている!
(というのは、どうでしょうか?)
いろいろ想像すると楽しいです。 🤗
前回の内容は、こちらです。(↓)
(意外とイイ線いっていたかも?)
実は、「カタカナが大昔から存在していた説」より説得力のある説も、幾つか考えていたのです。
もしも需要があったら、また書いてみたいと思います。
(2021年3月6日の記事でした。)
(オーディオ・コメンタリーも面白いです。😆)
DVD版(↑)とブルーレイ版(↓)
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