『インターステラー』考察⑥ [ラストシーン]クーパーの行動(2)理由

2021/09/02

映画 感想・考察

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(original image: deselect)


今回も、映画のラストで、クーパーがあのような行動を取った理由について書いていきます。

前回、マーフが提案した根拠について書きました。

アメリア(・ブランド)がエドマンズの星に着いたことを、まるで知っているかのようでしたから。


こちらの記事の続きです。(↓)


クーパーの準備


マーフと同じく、クーパーも、「アメリアがエドマンズの星に着く」ことは、証拠がなくても確信していたはずです。

というのも、クーパーがそれまで宇宙で体験したことや、「愛」の意味を考えたら、「アメリアが第2の地球に着く」ことに疑いの余地はないので。

小説では、宇宙ステーションの病院から退院した日の夜、クーパーがアメリアについて考えているという箇所があります。

 

 「時間のずれは(自分と)同じはずだから、・・・・・今ごろは到着しているに違いない。」

「マーフたちが、すでにブランドを助けるために誰かを送った可能性もある。」

 

エドマンズの星に、「一刻も早く、宇宙ステーションから助けが向かうのは当然」と考えていることが分かります。

そして、マーフと再会した時、すでにエドマンズの星に出発した人がいたならば、クーパーにも知らされたはず。

でも、マーフが伝えたのは、「クーパーが行くべき」だということでした。

そして、どの宇宙船がエドマンズの星に向かう予定なのか、この時に情報を得たという展開が自然ではないでしょうか?

それに適した装備や燃料がなければ、目的を果たすことはできないのですから。


なぜこっそり?


どうして、クーパーにこの任務が正式に託されなかったのでしょうか?

「宇宙船で出かけさせてもらえない理由」があったのではないか、と私は考えています。

それは、年齢なのか、宇宙滞在時間が長すぎるからなのか、必要な訓練を受けていないからなのか・・・


この理由と関連しているのか、クーパーとマーフの再会には、不可解な点があるのです。

移動が命に関わるかもしれない老齢のマーフが、別の宇宙ステーションからわざわざ、クーパーに会いに来ていました。

2日間の入院の後、ぴんぴんしているクーパーが会いに行けば、もっと安全でラクなはずなのに。

たとえ操縦しなくても、クーパーを移動させられない理由があったのでしょうか・・?

宇宙空間での滞在は、遺伝子が変化してしまうほど人体への影響は大きいので、何か規定があってもおかしくないのかな、と考えたりしています。

それなので、エドマンズの星に向かう飛行士として、誰か別の人が選ばれていたのだと思います。


迷惑をかけたのか?


でも、その飛行士の代わりにクーパーが旅立っても、困る人はいないと思うのです。

だって、目的地は「ワームホールの先」!

15人が向かったけれども、ずっと誰一人戻ってこなかった未知の世界ですから。

音信不通のまま、90年後にいきなり、1人だけ戻ってきたり・・・

そんな恐ろしい所、行かないですむのなら、選ばれた飛行士にとっても、その人を選んだ人たちにとっても、それはそれで構わないのではないでしょうか?

選ばれた飛行士は、90年前のクーパーたちと同じように、家族と再会できないかもしれない状況でした。

 

実は、90年前も、別の操縦士に代わって、クーパーがミッションに参加しているはずなのです。

クーパーがNASAの施設に気付いたのは、エンデュランスが出発する数日前でした。

もともとこの計画はクーパー抜きで進んでいて、操縦士も別の人が予定されていたことになります。

その人にとっても、全く問題のない変更だったはず。

 

そして90年後の再出発では、クーパーがいなくなっても、困る人は一人もいない・・・


(original image: prettysleepy1)


クーパーにしかできないこと


そして重要なことに、この任務は「クーパーの方が適している」のです。

場所をよく理解している経験者で、「生きて帰って来た」という運命の持ち主!

(「愛」に導かれている、という強みも。)

そもそも、クーパーの使命は「四次元空間でデータを伝えること」で終わっていなかったのだと思います。

だから、元気な姿で宇宙ステーションにたどり着けたというか…

エドマンズの星に向かうことも、彼に託されたミッションだったのではないでしょうか?

マーフには、それが「当然のこと」として感じ取れたと表現しているように思われます。

「人類の意思」が、マーフの口を通して伝えられた、という展開です。

 

クーパーとしては、アメリアに会って、「伝えるべきこと」がたくさんあるのではないかな、と思います。

 

彼女が語っていた「愛」についての仮説に対する気持ち。

その「愛」の意味を知ったこと。

TARSが無事だということ!

「彼ら」が誰なのか。

導かれた四次元空間での奇跡のような出来事。

ブランド教授(アメリアの父親)が手掛けた宇宙ステーションの様子。

 

これらのことを、クーパーとアメリアのふたりが直接語り合ってこそ、本当のハッピーエンドなのかもしれません。

そのような展開を、最大限暗示するラストでした。


(original photo: Free-Photos)



(2018年5月13日の記事です。)




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