前回、プランBに関するアメリアの説明自体に問題があり、それがこの計画への違和感につながっていることを書きました。
そして、その「説明の不自然さ」というのは、彼女が「育児に関する常識が無いこと」を示唆しているのではないでしょうか?
ストーリー後半部分では、「大人ふたりで10人の子供を(新生児から)育てられるかも?」というような、びっくり思考までありました!
実は、これらの内容というのは、「アメリアの過去」を、ほのめかしているのではないかな、と思うんです。
そうでなければ、地球上屈指の秀才であろう彼女に、「ドン引き発言」をさせる意味が、よく分かりません。
あのようなことを、全く疑問を持たずに言ったり、考えたりできるということは、彼女がそういう風に成長した「過程」があるということ。
つまり、「これまで、アメリアがどのように過ごして来たのか」を推測するための発言なのではないかと…
それは、映画でも小説でも、全く語られていないので、興味のあるところです。🤗
今回は、この点を手がかりとして、「アメリアの生い立ち」について推測していきたいと思います。
(image: geralt)
仕事一直線
「育児に関する常識がない」ということは、アメリアが、すべてを仕事に捧げてきたことを意味しているのかもしれません。
これが、1番最初に思い付きますね。
つまり、研究に明け暮れる日々を過ごしてきたと。
周りの人物観察をしたり、映画やドラマを観るというような、余暇の時間も無いまま…
彼女は、「人類を救う」という、壮大な目標に向かっていたのですから!
特殊な幼少期
でも、それだけでは説明できないこともあります。
自分自身の成長する過程から、子育てについて、知らない間に感じ取ることもあるので。
もしかしたら、「彼女の育った環境自体が特別なものだった」という可能性も考えられるのではないでしょうか?
あまり人との関わり合いが無いような…
自分自身の幼少期について、話を聞く機会がほとんど無い環境が想定されるのです。
また、アメリアには、兄弟姉妹もいないと思われます。
(もしもいた場合、何かしらのストーリーが生まれるはずなので。)
そして、自分よりも年下の子供と接する機会が少ないほど、育児に関して考える機会も少なくなります。
同時に、そのような環境で育ちながらも、本人は「のびのびと幸せに過ごした」という状況が浮かんできます。
というのも、自分自身の育てられ方に疑問を持っている場合には、育児に興味を持ち、考えたり調べたりすることにつながるからです。
(仕事とは関係なくても。)
アメリアの母親
実は、アメリアの母親に関する内容が、全く無いのです。
映画・小説のどちらにも。
父親であるブランド教授を心から尊敬し、愛していることは、十分伝わってきます。
それなのに、母親に対しては、何も感じていないかのようです。
これは、愛情豊かなアメリアにしては、不自然なほど。
「両親が離婚した」とか、「母親がすでに亡くなっている」とか、「母親を恨んでいて何も考えないようにしている」とか、そういう説明は一切無く、完全な空白になっています。
また、プランAが不可能だと知らされた時、アメリアは何の躊躇もなく、宇宙に留まります。
クーパーが、子供たちのために地球に戻ることには理解を示し、全面的に協力するのに。
この行動は、プランBのリーダーとしての責任感から、とも考えられますが…
それだけでは説明できないものがあります。
地球に帰れないことに対して、残念がるそぶりが一切無いので。
地球には、「アメリアが一緒に過ごす必要のある人」「彼女を待っている人」がひとりもいないのではないか?と感じました。
(年老いた父親は、すでに亡くなっていることを知っている。)
そしてこの状況は、ブランド教授が望む通りだと思うのです。
アメリアの生い立ち
マン博士に、「家族を持つな」と言ったというブランド教授。
プランBを遂行するメンバーにとって、家族は地球への未練を感じさせる足かせになってしまうからでしょう。
そしてアメリアに関しては、地球に彼女を引き留めるものは何も無い様子。
最初から無ければ、板挟みになることもありません。
ブランド教授には、それが分かっていたのではないか、と思います。
では、こういう状況に、計画的に持っていくとした場合、1番確実な方法はどういうものでしょうか?
私は、「アメリア自身が、代理母から、または人工培養によって生まれた」という可能性を想像しています。
(映画の時代には、小型化された「人工子宮」があるので、その先駆け装置で?)
そして、数人のトップレベルの(年配の?)家庭教師に世話をされ、人工知能ロボットたちに見守られて育った、とういうような様子が浮かんできます。
(「育ての母」と言える特定の人物がいると、愛着が生じてしまうので。)
(original photo: ddimitrova)
ブランド教授の後継者
アメリアの誕生前後の時点で、プランBを担わせることは、まだ決まっていなかったのかもしれません。
(彼女が宇宙に向かう、48年前にワームホールは観測され、25年前から宇宙ステーションの建設が行われている状況。)
しかし、最初から、何十年かかるかわからない「人類植民計画」を担う後継者として、育てる意図はあったと考えても良いでしょう。
そして、プランAが実行不可能と判断され、プランBしか人類存続の道はないと分かった時、ブランド教授は、アメリアをそのプロジェクトのリーダーに育て上げることを決意したのではないかと。
そして、研究に興味を持たせ、専門知識を身に付けさせ、この分野のトップへと導いたのではないでしょうか?
彼女自身を含め、誰もが納得する形で、プランBを担わせるために。
それはあくまでも、「確実に計画を実行するため」であったと思われます。
最も信頼でき、優秀な人物が関わることで、成功の可能性は高くなりますから。
偉大な親を持つ子供が、正反対の道に進むということは、現実ではよくあることだと思いますが、アメリアの場合は違います。
父親を尊敬しながらも、対等に渡り合っている様子なのです。
ブランド教授は、後継者の育成を計画通り進めるだけではなく、娘を心から愛し、本人の意思を尊重しつつ、大切に育てたと考えられます。
(そうでなければ、子供は利用されていると気付き、うまくいかないのが普通ですから。)
地球の人達とつながりが無いということは、アメリア自身の心の平安を保つことにもつながります。
そのために、ブランド教授が、父親としてすべてを背負う選択をしたとも考えられるのです。
このように、プロジェクトにすべてを捧げられる後継者として、育てられたのがアメリアなのではないではないか、と推測することができます。
そうなると…
エドマンズが遠い星に送り込まれたのも、はじめから決まっていたことだったのかどうか…
それとも、アメリアが好意を抱いてから、決定したのでしょうか…😨
どちらにせよ、この点に関しても、計画を実行することの支障になるどころか、むしろ促進になっていることに注目しています。
父親としてのブランド教授
映画や小説で語られているアメリアの様子から、以上のような生い立ちが想像できます。
また、同時にブランド教授の底知れなさも。
それをさらに示唆しているのが、アメリアのイキイキとした人格ではないでしょうか。
これは、彼女を優秀な研究者として育てたこと以上の意味があると思うのです。
(original image: Anastasiya Lobanovskaya)
アメリアは、感情が豊かで、強く、協調性に優れています。
優秀な研究者に恋をして、会えないまま10年間思い続けているという、一途なところもあります。🥰
幸せで自己肯定感の強い大人に育てることは、たやすいことではありません。
最も頭の良い人たちは、このために脳を1番使うのではないかな、と考えたりしています。
ブランド教授は、壮大なプロジェクトを率いながら、同時にアメリアを一人前に育てた人物ということになります。
上に書いたとおり、もしかしたら、すべてひとりで考えて、彼女の成長を見守ってきたという可能性も…
アメリアの言動から、彼女の過去を想像すると、ブランド教授についても、さらに奥深さが増して感じられます。
しかし一方で、そんな教授を、傲慢であるとクーパーが責めるシーンがありました。
彼は、尊敬に値する人物ではなかった、ということでしょうか?
ブランド教授の知られざる秘密については、また改めて書きたいな、と思っています。
(プランBについては、こちらに書きました。 ↓ )
(2020年10月10日の記事です。)
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